「しあわせの絵の具」の感想

※ネタばれしてるのかしてないのかわからないので、そういうのに敏感な方はスルーしてくださいな。

 

今日はシネマフロンティアでアシュリング・ウォルシュ監督作「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」を観てきた。また一つ、好きな作品が増えた。

 

叔母と暮らすモードは家政婦を探す男性エベレットを見掛け・・・・

 

モード役はサリー・ホーキンス。エベレット役はイーサン・ホークアカデミー賞、この映画でノミネートされてもいいくらい素敵だった。最初は冷や冷やしながら二人を見守っていた。徐々に距離が縮まっていく姿には頬が緩んだ。手押し車にモードが乗り、それをエベレットが押す。そのシーンは胸に焼き付いた。絵や棚の雑貨の数、モードの身体の変化などで時間の流れを表現していて、繋がりがとても自然だった。季節の移り変わりも美しかった。

 

私がこの映画で強く感じたのは、優しさを表すにも勇気がいるということだった。きつい言葉遣いで頑固なエベレット。モードが網戸が欲しいと言えば、必要ないと言う。でも無言で網戸を設置する。叔母の家に行きたいモードに送らないと言い放つ。でも無言で迎えに行く。意地を早めに融解して、素直に行動するエベレットを愛おしく思った。一度言った事を曲げるなんて格好悪い、そうやって意固地になっても何も生まない。私は男にも二言があってもいいと思うのだ。もちろん女にも。

 

モードの芯の太さも、存分に私を楽しませた。だって、仕事の面接場所に行って、ここまで歩いてきたからお茶をもらえる?って言えるかい?!そこで許可を得ずに煙草を吸えるかい?!はい。モードはやるんです。冒頭、夜中に部屋を抜けてクラブに行って叔母に見つかるってくだりで、これは私が安易に思い描いたストーリーを超えてくれるのではと予感させた。

 

パンフレットには実在したモードの絵画が紹介されていたり、イーサンホークが出演を決めるきっかけとなった出来事が興味深かったりで、買ってよかったです。時々自分は生きている世界が狭いなって思う事があるんだけど、今目の前に広がる世界を慈しんでいかなきゃなって思いました。自分の窓を磨こう。