雪と毛

近年稀にみる雪の少なさである。

こんなに暖かくなる前、母は業者さんに屋根の雪下ろしをお願いした。毎年恒例の事だった。作業中、近所の人から、「春になれば溶けるのに」、と言われたと母は少し笑いながら話していた。私は、これから沢山降っても心配しないでいられるんだから良かったんでしょ、と言った。それからというもの、気温が上がり続け、雪はほとんど降らず、今日に至っては雨が降る始末。暖かいのは嬉しいのだけど、母が、やっぱり雪下ろしお願いしてよかった、って思えるくらい、また積もって欲しいなって思っている。

 

短大時代だっただろうか。

友達と私とで、ある友達への誕生日プレゼントを買おうという事になった。昔でいうソニプラ、今でいうプラザで物色していたら、背中の毛を処理出来るという文言が書かれた、垢こすりを兼ねた長いタオルが売っていた。うなじのあたりとか背中の毛は自分じゃ処理しにくいから、これいいね!と友達と盛り上がった。そのタオルと、あと他に何かを買ってプレゼントした。受け取った友達がどういうリアクションをしたのか全く覚えていないのだけど、今でも時々ふっと湧き上がってくる思いがある。

その友達は、そのタオルを見て、「私って背中の毛が濃いのかな・・・」って思ってしまったんじゃないだろうか。背中を合わせ鏡で確認したんじゃないだろうか。買った側は、自分が欲しい!と思っただけで、その子の背中や毛の濃さに思いを巡らせることはなかった。「これでその毛を処理しなせぇ」とは1ミリも思っていなかったのだけど、もしかするとそう思わせてしまったのではないか。

 

Vネックを前後ろ逆にしたようなセーター、いわゆるうなじが綺麗に見えるセーターを着ている人を見ると、そんな事を思い出してしまう。

 

髪の毛はぐんぐん伸びるのに、すね毛は一定の長さで成長を止めるのは何故だろう。