読書

今、栗原康著・伊藤野枝伝「村に火をつけ、白痴になれ」を読み終わった。文中に「ギロチン社」というワードが出てきて、あ!!と思い、寝っ転がっていた身体をすぐさま起こし、映画「菊とギロチン」のパンフレットを探し出した。人物相関図に出てくる名前と、文中に出てくる名前が何名も一致し、胸の高鳴りを覚えた。こんな風に、点と点が思いもよらない所で繋がる興奮があるから、映画鑑賞も読書もやめられないんだと、今誰かに伝えたくて急いでこれを書いている。

 

菊とギロチン」は大変面白く観たのだけど、実はギロチン社に関わる部分は登場人物が多くて、関係性をうまく把握できなかった。今回、思いがけないタイミングで彼らとまた出会い、躍動していた彼らをもう一度観たいと思った。

 

「村に火をつけ、白痴になれ」も大変面白かった。雨宮まみさんがこの本の書評を書いていたのが記憶に残っていて、手に取った。伊藤野枝さんの激動の人生に触れて、今、私の胸の奥が燃えている。今の日本の状況を伊藤さんがもし知ったら、「何にも変わっていないではないか!」とぶちぎれるんじゃないだろうか。京極さんとの生活を謳歌する私に、早く結婚しろとせかすあの人達は、すぐさま伊藤さんの標的になるだろう。ずるい私は、伊藤さんの後ろに隠れて、「そうだそうだー!!」と声を上げるだろう。私には、ちゃんと話してわかってもらおうという意思が欠けている。

 

「この人と一緒にいたい」という気持ちと「結婚制度」が結びつかない人が、周りの声に流されず、当人達にとって最も居心地の良い環境を得られる事を、私は望んでいる。他の誰でもない、あなたがどうしたいか。そして、自分とは違う選択をする誰かを尊重できるか。いつだって試されている。私は今の生活が大変気に入っている。

 

窓を開き、そのすぐそばに毛布を敷き、日を浴びながら、風に吹かれながら、外の枝に小さな新芽が出ている事を確認しながら、横になって読んだこの時間は、とても満ち足りていた。