映画について⑦

父は大学生の頃、東陽一監督の映画の現場を手伝っていたそうです。その名前を聞いた瞬間、「あ!もう頬づえはつかないの人でしょ。前観たよ!」と母に言いました。

映画の現場って大人数で動くから、その他大勢の1人だったんだろうと思いましたが、私が生まれる前に家にも来たことがあるそうです。撮影現場の下見がてらだったようですが。あと、両親の結婚式の前日に、たまたま札幌に来ていた東監督から連絡があったようで、父は軽く飲みに行ったようです。それなりに親交がある!「そうなんだ〜なんかその監督の映画、最近も観たような気がするわ〜」と言って電話を切った後にフィルモグラフィーを調べたら、「だれかの木琴」の監督でした。今年観たし!映画館行ったし!「酔いがさめたら、うちに帰ろう」も好きだし!と1人で興奮しました。

 

東監督は父より15歳くらい年齢が上です。可愛がってくれていたんですかねぇ。同じ大学だったのが縁だったのかな。父は映画の道に進みたいって気持ちもあったようですが、大学を卒業後、何年かして札幌に戻り、祖父のお店を継ぎました。そして、そのお店で母と出会いました。父と母が初めてのデートで観たのが「青春の蹉跌」という映画だったことも、昨日母から聞きました。今度観てみます。

 

すごく現実的な話をしますけど、母が家で映画を観るようになった時、父は横からあーだこーだと映画にダメ出しをし始めたようで、それが嫌だった母は、それ以降、父と一緒に映画は観ないようにしていたようです。いい話だなぁ。イライラしている母の顔が目に浮かぶ。

 

生前、父と同窓会の話になった時、父は「あっても行きたくない」と言っていたのが印象的でした。あまりいい思い出がないのか、今の自分を知られるのが嫌なのか、まぁ色々あるんだろうと考えていました。父に撮影現場の話を聞いてみたかったと思いもするんですけど、それがいい思い出なのか、苦い思い出なのかが全く分からないので、何とも言い難いとこです。父が関わった映画は観てみたい気もしますが。

 

親の事って、近くにいてもほとんど知らないんですよね。私は「父親」「母親」の面しか知らないし、それ以外の事はそこまで知らなくてもいいかなぁ、というのが正直なところです。ただでさえ重量感のある存在ですから。曖昧でいい。

 

今回のことで、父が親交のあった監督の映画を今年自分が映画館で観た、という時代の流れが面白いなぁと思いました。東監督は現在82歳。また新作が公開されたら、映画館へ観に行きます。

 

おまけ
私のベスト絶望映画「ドッグヴィル」について、東監督が言及している記事を見つけました
http://intro.ne.jp/contents/2005/04/24_0832.html