母とお出かけ

昨日、久しぶりに母と札幌駅で待ち合わせをした。

 

私たちがよく行っていた、地下街にある小さな本屋さんが少し前に閉店した事で、違う本屋さんへの最短ルートを母に教える事が主目的だった。会うたびに母は小さくなっていっているような気がする。私が大きくなっているからかもしれない。

 

「ここからエレベーター乗ったらすぐだよ」と教えながら、大きい本屋さんへ到着した。エレベーターを降りたらすぐに女の子の写真集売り場があり、そこで母は「可愛い子はこうやって写真集出せるんだねぇ」と言っていた。検索機の使い方を教えたけど、自信がなさそうだったから、「ここ店員さんも多いから、探せなかったらすぐ聞いた方がいいよ」と伝えた。

 

雑誌売り場で、母が、ある男性俳優の名前が思い出せずいてあれこれ言ってるから、「え、何、その俳優さんが好きなの?」と聞くと、「ううん、好きじゃないの。ゆみちゃんがどう思うか聞いてみたくて」と言っていた。好きじゃないんかい。母がいつかその俳優さんをテレビで見たら、名前わかって嬉しい!!(やっぱり好きじゃないけど!!!)という謎の感情を抱くのか。

 

本屋さんを一周してお昼ご飯を食べようとなり、大丸のレストラン街を一回りすると母は値段にびびって違う所がいいと言い、PASEOの地下街にあるお蕎麦屋さんに行った。確かに天ざるで千円くらい値段が違う。もう働いてるからどこでもいいよ、と言わなかった自分が少し情けない。

 

2人で天ざるを頼み、母は「落ち着くわぁ」と言い、鞄から手のひらサイズの缶を出した。その中には、保冷剤とチョコが2つ入っていた。そのチョコは、今年のバレンタインに、私が母にあげたものだった。そのチョコは私が小さい頃に母と時々食べていて、2人とも大好きだったのに何故かどこの売り場でも見当たらなくなった外国製のもの。今年の冬、ネットで取り寄せできると知り、張り切ってパートナと自分の分・母の分・そのチョコの美味しさを分かち合った幼馴染の分を購入してお裾分けしたのだ。30年ぶりくらいに再会したそのチョコを、母は大いに喜んでくれ、味が変わってないことにも感動していた。確か15個くらいしか入ってないのに、母はまだそれを残していて、私に食べさせたかったようだ。

 

私はそんな母を可愛らしいなと思いながらも、すぐにお蕎麦来るし、家に帰ってから食べるね、と鞄にしまった。母は残りの1個をパクっと口に入れた。一緒に食べて、やっぱり美味しいねって言い合った方がよかったかな、と今になって思うが、月曜に電話をした時にその美味しさとお礼伝えればいいか、と思い直した。気温の高さでフニャフニャになってしまった事は伏せようかな。

 

お互いのオススメの本を交換したり、友達の子供の写真を見せたり、愛犬の写真を見て、ほんと可愛いね、と話したりしながらお蕎麦を食べた。

 

母の好きじゃない俳優って誰だろうな。