4時頃に目が覚めた。すぐまた眠れるだろうと、昨夜の職場の飲み会で話した事を思い返しながら目を閉じていた。私の興味本位の質問たちに、あの人は不快にならなかっただろうか。あの人はまた所在なさげにしている。あの人と本や映画の話をする事になるとは思いもよらなかった。

 

眠気がやってこない。愛犬はすぐ横で丸くなって寝ている。ネットニュースを眺める。高齢者の交通事故の記事を読み、双方の、こういう未来が訪れるなんて思いもしなかっただろう現実に、胸の中でうごめく何かがあった。その電話を取った息子さんの心中はいかばかりか。

 

余計眠れなくなった。電気を付け、読みかけていた、西加奈子さんの「こうふく あかの」を開いた。頂き物のレザーのブックカバーの手触りが心地良い。主人公がこの先、どういう心持ちで生きていくのか、知るのが少し怖い。涙が何粒か出てきて、枕をくるんでいるタオルが少し濡れた。このタオルは私の昔の結婚祝いに、友達のお母さんがくれたものだ。柔らかく、肌に当たると気持ちいいから、いつしか枕用になった。

 

愛犬が起きて、クルクル回っている。何を思っているんだろう。本を読み進めようか、電気を消して目をつぶろうか、迷っている。