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映画について③

27歳の夏。私は、自分を含め3名体制の会社に勤めていました。
メンバーは、40代の社長(男性)、5歳の年上のTさん(男性)、私。
社長は外勤が多かったので、必然的に事務所にはTさんと私だけ。Tさんは口数が少なく、一緒にいて気楽な人でした。

 

何気ない会話から、Tさんは映画のDVDを沢山持っていて、仕事から帰ったら夜な夜な鑑賞していると知りました。私は今でこそ同じことをしていますが、その頃はよく疲れないなぁと思っていました。私が、「じゃあ好きな映画ベスト3は??」とヘラヘラした顔で問うと、Tさんは少し呆れたような表情で、「・・・ほんとに好きだったらそんな簡単に選べないもんだよ」と言いました。無趣味な私は、「ふぅん、そういうもんかー」と思い、なんとなく興味が湧いたので、DVDを何本か貸して、とお願いしました。

 

まず持ってきてくれたのが、「ジャッキー・ブラウン」「キャスト・アウェイ」「レザボア・ドッグス」の3本でした。
最初にタランティーノ監督作「ジャッキー・ブラウン」を観ました。面白い!!と感動すると同時に、「私、これからもっと映画が好きになる気がする・・」という予感がフツフツと湧き上がってきました。そして、余っていたノートに、タイトル・監督と主演俳優の名前・短い感想を走り書きしたのです。この、本能的に行った「記録」の作業は、とても大きい出来事だったと今になって感じています。記録は続けるモチベーションになりますし、増えていくことが喜びになります。記憶を可視化することで、より定着していくようにも思います。体重を入力するアプリはすぐ飽きましたけどね。ふふふのふ。

 

キャスト・アウェイ」も本当に素晴らしかった。あんなに切ない別れがあるだろうか。「レザボア・ドッグス」ではホワイト役のハーヴェイカイテルに一発で惚れ、ピンク役のスティーヴブシェミの存在感に惹きつけられました。それからは、ゴッドファーザーパルプフィクション時計じかけのオレンジ・シンシティ・SMOKEなどを貸してもらいました。今まで出会った事が無いタイプの映画にどんどん魅了されていき、ちょっと難しい映画だなぁと思っても、今の私だからわからないだけなんだ、いつかまた観直そう、と必ず最後まで観ました。社長が出張で不在の時は、2人ともテキパキと仕事を終わらせ、余った時間で「トゥルーロマンス」をパソコンから観たのもいい思い出です。時効時効!

 

26作品借りた所で、ふと邦画も観てみたくなり、TSUTAYA で、接吻・キサラギ刑務所の中かもめ食堂・腑抜けども悲しみの愛を見せろ、などをレンタルしました。どれも面白く、洋画とは違った魅力がありました。Tさんからは洋画、TSUTAYAからは邦画を借りる日々が続き、月に1回程、映画館にも足を運ぶようになりました。そして、私と映画館の距離をより縮めてくれる存在に出会うこととなるのです。

 

余談中の余談ですけど、Tさんは今となっては別れた夫です、なんてことにはなりません。あしからず。